今回のお題は「人生に影響を与えた1冊」について。
既にこのブログでも何度か紹介していますが、私は森博嗣さんの著書『「やりがいのある仕事」という幻想』に大きな影響を受けました。
今回はこの本の趣旨を改めて皆さんにざっくりご紹介したいと思います。
森博嗣さんってどんな人?
第1回メフィスト賞を受賞し、既に武井咲さんと綾野剛さん主演でTVドラマ化もなされている森さんの代表作 『すべてがFになる』があまりにも有名なため、一般的には小説家という印象が強いでしょう。しかし、実は元々「工学博士」で大学教授。その経歴は作品にも色濃く反映されており、「理系ミステリ」なんて呼ばれています。森さんは物の考え方が非常に独特で、今回紹介する本の他にもいくつかエッセイを出版しています。
森博嗣さんの主な著作
ぜひご一緒にどうぞ。
私がこの本を手に取ったワケ
私がこの本を手に取ったのは、大学4年生の春ごろ。私はこのころ、周りが続々と就職先を決めて遊び呆けている中、自分の進路を決めきれずに悩んでいました。仕事とは何か? なんで仕事をするのか? 内定をもらったら人生薔薇色なのか? そんなことを考えながら悶々とした日々を過ごしているときに、私はふと本屋に立ち寄ったのです。
そのとき私の目に飛び込んできたのが、『「やりがいのある仕事」という幻想』というなんとも興味をそそるタイトル。そして、まえがきを読んだ途端に「これは自分が読むべき本だ!」と悟りました。
この本は今でも私の心の支えというか、礎になっていると思います。
内容の一部を紹介
職業に貴賤はない
世の中に「偉い仕事」というものは存在しないと森さんは言います。これは、私も全くもってその通りだと思っています。
例えば、トイレ掃除と総理大臣はどっちが偉い仕事か?
総理大臣は高貴な仕事で、トイレ掃除は賤(いや)しい仕事か?
もちろんそんなことはありません。
ですが、人はみな「格好良い(良さそうな)仕事」に憧れを持ちます。自分の頭は一切使わずに、他人から羨まれるような仕事に就きたいと願う。そんな人は大抵、自分の仕事こそ至高であると思いこみ、誰かの仕事を馬鹿にしたり見下したりする。要するにこれは、その人の「心」が賤しいだけなのでしょう。
人は働くために生きているのではない
ごくごく当たり前なことですが、人は働くために生きているのではありません。そうではなく、生きるために働くのです。しかし、こんな簡単なことすら感覚的にわからなくなってしまうのが、高度に文明が発展した人類社会の影なのかもしれません。
そもそも、仕事をしていると偉いのか?
やはりそんなことはありません。家族や人様に迷惑を掛けないのであれば、仕事をしないからといって蔑(さげす)まれるような道理はないのです。もし仮に宝くじで何億円当たった人がいたとして、その後もセコセコと働いている方がどうかしていると思うはずでしょう。
この本が私に教えてくれたこと
この本で森さんが言っていること全てに賛同しているわけではありませんが、この本を読んで一番良かったのは、「仕事なんてそこまで深刻に考えなくて良いんだな」と思えるようになったこと。そして、他人の物差しではなく「自分だけの物差しを持つことの大切さ」を知ったことです。
あなたがもし仕事や人生のことで悩んでいるのなら、きっとこの本が何かしらの刺激や発見を与えてくれると思います。
今回ご紹介した書籍