『仕事ができる人の「しないこと」リスト』という本を読みました。家の近くの本屋に立ち寄った際、この一冊が異様に目について即購入。とっても良書だったので、皆さんにもおすすめしたいと思います。
あなたは何を「しない」べきか?
仕事ができる人とできない人の違いはどこにあるのでしょうか? 「能力」と言ってしまえばそれまでですが、広い意味で捉えればこの「能力」に含まれるのが「しないことを決める」力です。
「しないこと」を決めるということは、物事に明確な優先順位をつけるのはもちろん、自分自身が「生き方」を選ぶことに他ならないと筆者は述べています。
さて今回は、本書の中で紹介されている、計50個の「しないこと」リストの中から、私が特に感銘を受けた項目を本文の一部を引用しつつご紹介します。
第一部<考え方>編
「100点を目指さない」
完璧主義に陥ると、お先真っ暗である
出典:P.17より
いい仕事とは、注文主の望みに応えること。500円の定食を頼んだ客に、1万円の懐石料理を出しても満足してもらえない、という話を例として筆者は挙げています。
ポイントは、「完成度」ではなく「時間効率」を上げることに視点をシフトさせること。あくまで一度の100点ではなく、毎回の「80点」を狙うことが大事です。
「便利屋」にならない
「自分の状況」を周知させるのも大事な仕事
出典:P.31より
上司からの「ちょっといいか?」は悪魔のささやきに等しい。と筆者は言っていますが、上司は部下から情報を吸い上げて判断する必要があるので、これも仕方のないことです。
ただし本書では、上司の時間も部下の時間も「価値」は同じだと述べています。違うのは「単価」であって、時間の価値は同じ。だからこそ、自分の状況をしっかりと周知させたうえで、期限を区切って逆提案することが必要なのだといいます。
「知ったかぶり」をしない
「利口」ぶるのは仕事でも、人生においても、確実に損をする
出典:P.39より
知らないことは知らない、わからないことはわからないと正直に伝え、「教えてください」という姿勢で真摯に臨むこと。これができる人の特徴です。
職場に限らず、集団において「バカになれる人」は愛される。本当にできる人は、「バカ」のフリができて、周りから協力してもらえたり、適切なアドバイスがもらえたりするわけです。
「素人考え」で仕事を進めない
「わからないこと」には安易に手を出してはいけません。少しばかり知識や技術を持っていると、それに頼ってかえって大きな失敗を引き起こします。
先ほど紹介した「知ったかぶり」の項目とも重複しますが、わからないことは自分だけで判断せず、「詳しい人に聞く」というのが非常に重要です。
「大差のない」ことに悩まない
人はなぜ迷うのか? これについて筆者は、「どちらでもいいから迷うのだ」と指摘しています。
人は二つの選択肢があるとき、そこに「明らかな差」があれば悩むこともなく、すぐにどちらか一方を選択できます。つまり、「悩むこと」の多くが「大差のないこと」であるというわけです。両者に大差がないのであれば、即座に判断して行動に移すことが大事なのです。
人の「不平不満」につきあわない
生産性のない不平不満は、自分自身を殺す
出典:P.98より
本書曰く、不平不満の源泉は2つあるそうです。
- それが嫌いな仕事だから
- それが好きな仕事だから
これには私自身驚きました。でも確かに、好きだからこそ出てくる不満というものもありますよね。
ただここで大事なのは、「会社として喜ぶべき不平不満」なら良い、という点です。もう不平不満をこぼさなくていいように、改善策を提案する。不満があるということは改善点があるわけですから、ただ文句をこぼすよりもはるかに生産的ですね。
第二部<テクニック>編
「スケジュール」を詰め込まない
スケジュールは、すべて「1時間単位」で組む
出典:P.123
これもぜひ見習いたい項目です。あくまで仕事とは「予定通りに進まない」もの。だからこそ、仕事にはある程度の「遊び」(バッファー)が必要なのです。
筆者は、「分刻みの仕事」など愚の骨頂、だとも述べています。ちょっと大げさな気もしますが、そのくらい「余裕を持ったスケジューリング」が大事だということですね。余った時間は、本当にやりたい仕事や最重要の仕事に注ぎ込める。「勝負時」を見極める目を育てないと、せこい仕事、せこい成果しか収められないのだといいます。
「予定」を簡単に動かさない
「自分の時間」を守るためのルールをつくる
出典:P.128
いかなる相手であろうと、アポなしの訪問には応じない。これが鉄則だそうです。
自分の貴重な時間を奪われないようにするために、自分自身の「ルール」を決めること。例えば、ある特定の時間帯を電話に出ない時間(折り返し電話タイム)することなどが挙げられています。
要するに、「(自分の)時間を制する者が仕事を制す」ということですね。
「大事なこと」を夜に決めない
「大事なこと」はひと晩おいてから判断せよ
出典:P.136
「夜中に考えることは過激なものになる」という経験則があるそうです。たしかに、これは私もなんとなく心当たりがあります。
また、夜中は頭も疲れているので、メールの返信なども相手への配慮が欠けてしまいがち。大事なことであればあるほど、日の昇っている時間帯に判断する必要があります。
「わかりにくい表現」をしない
「わかりやすく伝える力」は「仕事をする力」
出典:P.154
やたらと難しい言葉を使いたがる人っていますよね。難解な漢字を使ったり、わざわざ馴染みのない横文字を使う人。
ですが、どんなに良い意見や情報でも、相手に正確に伝わらなければ価値がないことと同じです。常に自分の表現に関して、「要するに?」「一言でいうと?」と自問自答することが効果的です。
「打ち合わせ」に時間をかけない
ちょっとした打ち合わせくらい、立ち話で十分
出典:P.169
会議は時間ばかり取られるわりに、結局何も決まらない。私が今勤めている会社でも、会議時間の削減が全社課題として挙がっています。
本書ではその具体的な対策が挙げられていて、例えば、会議は立ってやる、ただ報告するだけの定期的な会議を見直す、議題は一点のみに絞る、など明日から実践できるものばかりでした。
「雑用」に振り回されない
雑用をいい加減にやる人は、一生雑用で苦労する
出典:P.210
「仕事に雑用はない。雑にやった仕事が雑用になる」なんていう言葉があるそうですが、これとも近い考え方。
雑用というのは、普通にやっているだけだと「目立たない」仕事です。しかし、いえ、だからこそ、そこに創意工夫をするとかえって目立った仕事になるのだといいます。
若い人は特に、雑用に対して創意工夫ができるのか、雑用に気持ちを込めて向き合えるのかを試されているのです。私も立場上雑用をやることが多いですが、腐らずに効率的な方法を探す努力をしていこうと心がけています。
まとめ
このように、仕事のできる・できないを「しないこと」というアプローチから考えてみると、仕事のできる人の特徴はすごくわかりやすくなると思います。
ご自分はもちろんですが、職場の同僚や上司など、この本の項目に照らして分析してみると、意外な発見があるかもしれませんね。
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