やりたい仕事が見つからないたったひとつの理由


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この記事では、学生や社会人を問わず「やりたい仕事が見つからない」ということで悩んでいる方に向けてお伝えしたい情報をご紹介します。

この話をするに当たって、まずは僕の経歴からご説明しなければなりません。僕は2019年4月から、電子書籍の編集者をやっています。本の編集者という仕事は、まさに僕が大学4年生の時にたどり着いたやりたい仕事です。

社会人歴としては、私立の4年制大学を卒業したのが2014年3月なので、今は7年目になります。つまり、6年目にしてようやく大学生のときに見つけたやりたい仕事に就くことができたというわけです。

まえがき|僕がこの記事を書く理由

さて、ここで僕が改めて「やりたい仕事」をテーマに筆を執った理由は、「あの大学4年生のときに自分のやりたい仕事が定まって良かったな」と思えたから。

ちなみに、3月までは主にWeb編集者・ライターとして働いてきました。実を言うと、書籍編集者の仕事にはこれまで何度もチャレンジしてきたのですが、ことごとく書類選考と面接で落とされてきました。正直、それまでの5年間は書籍編集者になることを半分諦めていたんです。

それでも、今はこうして念願の書籍編集者になることができました。なぜそうなったのかと言うと、もちろん運が良かったというのもあるのですが、それ以上に大切なのは、僕が本当の意味で「やりたい仕事」を見つけられていたからなんだと思います。

自分のやりたい仕事が見つからずに悩んでいた当時を振り返ってみると、周囲の友人たちが次々と進路を決めていく(内定をもらう)ことでとても焦っていました。しかし今思うと、このタイミングで本当に自分のやりたい仕事が見つかっている人の方が、圧倒的に少なかったのではないかと思っています。

それはなぜかというと、僕と同世代の友人たちは「今の仕事が面白くないけど、別にやりたい仕事も他にないから続けている」と言っていることが非常に多いためです。言わば、若いころに描いていたやりたい仕事は「やりたい仕事(仮)」だった場合が多いというわけです。

ちょっとまえがきが長くなりましたが、この記事では僕の実体験を基に、「やりたい仕事」を見つけるために必要な要素をご紹介します。また、やりたい仕事を見つけようとするうえで注意したいこと、そしてどのようにすれば見つけられる確率を上がられるかというところまで解説していきます。

やりたい仕事を見つけるのに必要なたったひとつのこと

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最初に結論から言うと、自分がやりたい仕事を見つけるには、「強烈に心を動かされた実体験」が必要です。

【この記事のポイント①】
やりたい仕事を見つけるために必要なのは、「強烈に心を動かされた実体験」である。

やりたい仕事が見つからずに悩んでいるという方は、恐らくこれまで生きてきた中で「強烈に心を動かされた実体験」がまだないのではないでしょうか。

この「強烈に心を動かされる」とはどういうものなのかというと、それまでの自分の価値観が大きく変わったり、見える世界観が変わるような出来事です。わかりにくいと思うので、僕の実体験を具体例として挙げましょう。

僕が強烈に心を動かされた出来事

当時の就活は大学3年生の12月に説明会などが解禁され、4年生の4月から面接がスタートとするというスケジュールでした。僕はこの間色々な企業を見て積極的に動き回ったのですが、入りたい企業・やりたい仕事が見つからず、この就活最盛期のタイミングを完全に乗り過ごします。

「自分のやりたい仕事って一体何なんだ……」

そんなことを考えながら過ごす毎日。雲を掴むような、捉えどころのない、言い知れない不安感と常に戦っていました。

そんな僕が大学4年の夏ぐらいに「強烈に心を動かされた」のが、たった1冊の本。この内容について今回は敢えて細かく触れませんが、その内容が本当に衝撃的で、大げさでなく本当に体に雷が落ちたような、自分の今までの世界がひっくり返ったような感覚を味わいます。

「世の中にはこんな考え方をする人間が存在するのか……!」
「そして自分は何でこんなちっぽけなことで一人悶々と悩んでたんだ……」

と。そしてこの1冊の本との出会いが、僕のやりたい仕事を「書籍編集者」だと決定づけたのです。

つまり、僕の場合の「強烈に心を動かされた実体験」は、「本の内容に衝撃を受ける」というものでした。

ちなみに、僕の場合はすごくポジティブな体験に基づいていますが、ほかにも人の生死などに関わるネガティブな経験もまた、「強烈に心を動かされた実体験」になり得ると思います。よく「死を身近に感じることで価値観が変わる」ということを耳にしますが、これもまさにそういう例ですね。

【この記事のポイント②】
「強烈に心を動かされた実体験」には、ポジティブな出来事もあればネガティブな出来事もある。

なぜ「実体験」なのか?

さて、もうひとつ重要な要素としてあるのは「実体験」という部分です。

かの有名なビスマルクの言葉にこんなものがあります。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
色んな機会で耳にする名言ですが、こと「やりたい仕事を見つける」ところに関しては、むしろ経験でしか学べないところがあると僕は思っています。この実体験のところは次の章で詳しく解説していきます。

やりたい仕事と混同しがちな「誰かへの憧れ」

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ここまでの説明において注意していただきたいのが、「強烈に心を動かされた実体験」と感覚的に似ており、混同されがちな「誰かへの憧れ」です。

「誰かへの憧れ」と「強烈に心を動かされた実体験」の決定的な違い

憧れの対象としてよくあるのは、身近な年上の人間、さらにメディアにも頻繁に出てくるような有名人でしょう。誰だって一人や二人、必ずいる存在だと思います。

この「誰かに憧れる」という行為それ自体は決して悪いことではないのですが、それが「やりたい仕事」に直接つながる可能性は極めて低いと思います。

それはなぜかというと、その憧れの対象が経験してきた実体験は他の誰にも全く同じ体験をすることができないためです。

誰かへの憧れというのは、厳密に言うと「実体験」ではなく「追体験」。追体験とは要するに、先ほど引用したビスマルクの言葉に当てはめると、「歴史に学ぶ(賢者である)」ということほぼ同義ともいえます。

【この記事のポイント③】
「誰かへの憧れ」は、「強烈に心を動かされた実体験」にはなり得ない。しかし、似ているので混同しがち。

「誰かへの憧れ」との向き合い方

それでは、「誰かへの憧れ」とどのように向き合えばいいのか?

僕はこのように考えます。自分がその誰かに憧れるのは、実際に行っている行動というよりもその人の「状態」に憧れているのではないかと。要するに、誰かへの憧れはやりたい仕事につながるわけではなく、自分が将来「なりたい姿」につながっているということです。

ここでひとつ例を挙げます。たとえば、僕が野球のイチロー選手に憧れていたとします。周囲にも「僕はイチロー選手のようになりたい!」と公言しているとします。さて、僕が実際にやりたいことは「野球」なのでしょうか?

僕の経験上、そのやりたいことが「野球」である可能性はほぼゼロに近いと思います。僕がイチロー選手に憧れを抱いているのは、きっと色んな要素に分解できます。たとえばこんな感じ。

  • 誰かへの憧れ

それまで日本人野手が通用しないとされてきたメジャーリーグで華々しい実績を残した

 

  • なりたい自分

新しい分野を開拓するパイオニア

つまり、いくらイチロー選手に憧れたとしても、イチロー選手がこれまで歩んできた道をそのまま全て同じように「実体験」することは不可能です。

ただし、もちろんプロ野球選手を目指す人のなかにもイチロー選手に憧れている人は多いはず。

何もそれ自体が悪いと言っているわけではないのですが、イチロー選手に憧れているという要素だけではプロ野球選手を目指す理由としては全然足りません。もっと他に、自分を突き動かす「実体験」が必要なのです。

【この記事のポイント④】
「誰かへの憧れ」は、表面的なものではなくその憧れの人の「状態」になりたい自分が隠れている。

エンタメによる感動はやりたい仕事に繋がりづらい

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ところで、「好きなことを仕事にする」というのも、やりたい仕事を見つけるという話と同じような文脈で語られることが多いフレーズです。

確かに、やりたい仕事を見つけるために自分の好きなことからアプローチすること自体は非常に有効だと思います。自分が好きなことだからこそ継続できますし、やりたいと思えるからそのため努力も苦にならないでしょう。

ただし、ここでひとつ注意してほしいポイントがあります。それは、人に感動を与えることを意図的に行っているエンターテインメント(以降はエンタメとします)の捉え方です。

エンタメは「強烈に心を動かされるような体験」になり得るか?

既にこの記事の結論として、自分がやりたい仕事を見つけるには「強烈に心を動かされた実体験」が必要だと説明しました。

そして、エンタメというのはまさにユーザーに対して「強烈に心を動かされるような体験」を与えることが目的の産業です。だからこそ、やりたい仕事を見つけるうえで安易にエンタメ業界を選ぶのは要注意だと思います。

実はかくいう僕自身が、このエンタメ業界に中途半端な気持ちで進んでしまうという失敗を犯した張本人です。ここからはまた僕の昔話が良い例になると思います。

大のアニメ好きがアニメ業界に入った結果どうなったか?

大学4年の夏頃に「書籍編集者」というやりたい仕事を見つけた僕ですが、実はそのずっと前から気になっている業界がありました。それが「アニメ」です。

アニメ業界と言えば、その過酷な労働環境がメディアでも度々取り上げられています。僕もその報道や書籍などをある程度読んでいたので、体もそんなに強くない自分はそんな過酷な環境では働けないという理由でずっと避けていました。

ただ、やりたい仕事を探すうえでは、どうしても「あなたの好きなことは何か?」という質問が投げかけられます。書籍編集者になれずもがいていた間も、常になんとなくアニメ業界で働くことが頭を離れませんでした。

そして、社会人3年目のときに転機が訪れます。それが、アニメ業界で「Webニュースサイトの編集記者」という職種の募集を見つけたことです。兼ねてより気になり続けてきたアニメ業界に、編集者・ライターというこれまでの自分の経験を活かした仕事があることを知って、「これこそが自分のやりたかった仕事だ!」とその求人に飛びつきます。

ここだけ読むと、なんだかそのままアニメ業界で上手くいくような気もしますが、結果的にはそのアニメ業界での仕事は1年ほどで辞めることになります。

では、僕はなぜそうなってしまったのか?

そこにやりたい仕事を見つけるためのヒントがあります。

自分が本当に好きなものは何か?

今から振り返ってみると、元々アニメ業界で働くことに対して何となく違和感を持ち続けていました。だからこそ、気になってはいながらもなかなか業界に飛び込めずにいたわけです。

そして、その違和感は「僕はアニメを観ることが好きなのであって、アニメを作る仕事、ないしそれを支える仕事が好きなのか?」という点に集約されます。仕事として従事する以上は、エンタメによる感動を与えられる側から、エンタメによって感動を与える側にまわらなければなりません。

要するに、「アニメを観て強く感動した」という僕の体験は、やりたい仕事を見つけるために必要な要素である「実体験」と呼ぶにはやや無理があります。むしろエンタメは、最初からユーザーの心を動かされるように仕向けられたものだからです。

【この記事のポイント⑤】
エンタメは意図的に感動を与えようとするものなので、それを「強烈に心を動かされた実体験」とするのは難しい。

ただ好きなことを続けてもやりたい仕事は見つからない

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ここからようやく、やりたい仕事を見つけるための解決策に移ります。

早速結論から言うと、やりたい仕事を見つけるためには、それまで好きで続けてきたことは一旦捨てた方が良いです。そして、これまで自分が興味を持たなかったものや経験したことがないことに触れる機会を少しでも増やすことが、やりたい仕事を見つける近道になります。

これだけではわかりにくいと思いますので、これまた具体例を挙げましょう。

アニメを観続けても、本当にやりたい仕事にはならなかった

先ほど僕は元々アニメが好きで、アニメ業界にずっと興味があったと説明しましたが、実は真剣にアニメを仕事にしようと「ひたすらアニメを観続けた」時期があります。

具体的に職種を言えば、アニメライターを目指していました。

このアニメライターを目指していた時期というのは、社会人1年目~2年目の頃だったと思います。当時は有名なアニメ評論家の方が出した本やアニメ雑誌、アニメライターの方が書いたWebコラムなどをひたすら読み、さらになるべく昔の作品も観るようにして、アニメに関する幅広い知識を身につけようと努力していました。

その後、念願叶ってアニメ業界でWebニュースサイトの編集記者になれたわけですが、結果としてその仕事は僕にとって「やりたい仕事」ではありませんでした。「アニメを観る」という自分の好きなことをひたすら続けても、そこから自分のやりたい仕事は見出せなかったということになります。

ひたすら新しい経験を積むことで、発生確率を上げていく

一方で、僕が本当にやりたい仕事を見つけるきっかけになったのは「本」でした。しかも、僕は元々本を読むのが大嫌いな人間です。

恐らく、高校生の時までにきちんと最後まで読んだ本は20冊にも満たなかったと思います。そのくらい本を読まなかった人間が、自分の進路に迷った結果1冊の本を手に取り、その本の内容にとてつもなく大きな衝撃を受けたのです。

つまり、自分がやりたい仕事を見つけるには、既に自分が好きなことを続けるのではなく、まだ自分自身が触れていないことにどれだけたくさん触れられるかがカギです。ほんの少しでもいいから、自分の心が反応する新しいものやことに触れてみてください。

【この記事のポイント⑥】
やりたい仕事がみつからないといって、今まで好きだったことを続けても現状は打開できない。新しい好きなことを探し続けることが「やりたい仕事探し」につながる。

やりたい仕事を見つけたいなら、立ち止まるな

残念ながら、「やりたい仕事を見つけるための何か」が「あなたにとって何なのか?」というのは誰にもわかりません。たとえ誰かに「僕(私)のやりたい仕事ってなんですかね?」と問いかけても、本当に「これだ!」と思えるような答えは返ってこないでしょう。

それと、やりたい仕事というのはなにも「人間ひとりにひとつだけ」と決まっているものではありません。人によっては、そのやりたい仕事がいくつもあるということもあると思います。

人というのは不思議なもので、たったひとつしか選べないのだと思い込むと、途端にそのひとつを選ぶことに慎重になる場合があります。「後からもっと良い選択肢が見つかるのではないか」とか「これを選んでダメだったらどうしよう」などと考えてしまうためでしょう。

ただ、僕はアニメ業界での仕事が結果的にやりたい仕事ではありませんでしたが、今でもアニメ業界で働いたことを全く後悔していません。自分の好きなアニメをどんな人たちが作っているのかという裏側が見れましたし、応援していきたい仲間もできました。

最後にお伝えしたいことがあります。もし少しでも気になる仕事があるのなら、ほんのわずかな一歩でも良いから行動を起こしてみてください。気になっている仕事をそのまま放置していると、いつかまた人生のどこかのタイミングでその仕事が頭にチラつくはず。時には理屈ではなく、自分の感性に正直になってみることも大切だと思います。

あとがき|この記事は僕にとっても覚悟の要ることでした

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。本題からはやや逸れますが、あとがきでは僕がこの記事を有料記事として公開した経緯について話させてください。

まずは僕が書籍編集者になりたいと思った理由。それは、文章という形でここまで誰かの人生に大きな影響を与え、背中を押すことができるものは他にないと思ったからです。そして、僕も昔の僕と同じように人生の選択で悩む誰かの背中を押せるような存在になりたい。

とはいえ、Web上には無料で読むことができる記事が大量に溢れています。気軽に必要な情報が手に入るという意味ではとても便利なことですが、本当に心に刺さる文章として読んでもらうには、読者の方にもそれなりの覚悟を持って読んでいただきたいと思っています。今回はそのための有料記事でした。

初めての有料記事ということで読みづらいところもあったかもしれませんが、どうかご容赦ください。そして、もしもこの記事が、これから勇気を持って一歩踏み出そうとする手助けができるような内容になったとしたら、僕にとってこれ以上の喜びはありません。

 

※この記事はnoteにて2019年6月9日から1年ほど有料記事として公開しました。その理由は、自分なりにある程度の覚悟を持って執筆したためです。ただ、本来の目的としてはこの記事を一人でも多くの方に読んでいただき、実際に役立てていただくためでした。その点を重視して2020年7月17日より無料記事に変更させていただき、2020年10月28日より本ブログに移行しました。

※既に有料記事としてご購入いただいた方へ。大変心苦しいのですが、noteの返金機能では購入から24時間以内にしか返金ができない仕様のようです。この場を借りて、ご購入いただいた皆さんにお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。