【Writer's File No.1】伊藤淳子さん。ライターになりたくてなったわけではない


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世の中には「ライター」という肩書きで活躍されている方が数多くいます。しかし、ライターは誰かに取材をすることばかりで、取材を受ける機会はあまり多くありません。

このライターズファイル(Writer's File)という企画では、ライターとして活躍されている方の「キャリア」についてインタビューさせていただいた内容を記事にしていきます。ライターとしてのキャリアに悩んでいる方や、これからライターとして働きたい方の参考になればうれしいです。

さて、記念すべきお1人目は、なんと女性雑誌創刊ブームのころから編集・ライターのキャリアをスタートした大ベテラン、伊藤淳子さんです。

実はこの企画自体、僕が昨日の午前中に思いついてツイートしたものなのですが、即ご連絡いただき昨日の14時から取材させていただきました(笑)。このようなペーペーのライターがインタビューするのも恐れ多かったですが、快くお受けいただき改めてお礼申し上げます。

早速ですが、ここからインタビュー本編に入ります!

ライターになりたくてなったわけではない

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伊藤さんが20代の頃エジプトに某赤文字系有名雑誌の取材に行ったときの写真

伊藤さんがライターになるまでの経緯

――早速ですが、伊藤さんがライターになるまでの経緯について教えていただけますか?

伊藤さん:高校生のときから雑誌に投稿をしていたのがライターとしての原点です。ただ、私はライターになりたくてなったわけではないんです。

私は高校を卒業した後の進路を考えるときに、大学に行く目的が見出せませんでした。時間とお金の無駄だと思ってしまったのです。それで、当時文通をしていた相手から

「グラフィックデザイナーか、コピーライターになったらどう?」

と言われたことがきっかけで、当時ではまだ珍しいグラフィックデザインの専門学校に通いつつ、久保田宣伝研究所(※現在の宣伝会議)のコピーライター通信講座を受講することにしました。

同時に、音楽関係の同人誌を作っている編集部で編集やライターの修行をさせてもらいました。アルバイト料は一切なしですが(笑)。当時は高卒の女子が男性と同じように働く環境はなかったので、

「うるさいからもう来るな」

なんて言われながらも、経験を積むためにお手伝いさせてもらっていました。それから1年が経った頃に専門学校を辞めて、大手印刷会社への就職が決まります。職種はグラフィックデザイナーでした。

グラフィックデザイナーからライターへ方向転換

――その後、どのようにしてライターの道に方向修正されたのでしょうか?

伊藤さん:この会社も1年ほど勤めたのですが、通勤が大変で辞めざるを得なくなってしまったんです。そのときに選んだのがライターの道でした。この会社で一流のデザイナーさんをたくさんみてきたのですが、私のスキルでは到底太刀打ちできないことがわかったんです。それに、デザイナーを続けるには機材にも膨大なお金がかかります。

一方、ライターは鉛筆と原稿用紙があればできる。同人誌のタダ働きで鍛えたもらった経験もあるし、フットワークさえよければなんとかなる。そう考えて、ライターとしてのキャリアを歩み始めました。

なるべく自分の意見を言わない

ライターとしての哲学

――ライターをやるうえで大事にしている哲学はありますか?

伊藤さん:ライターは自分が書きたいことを書く仕事ではありません。ですから、なるべく自分の意見を言わないようにしています。どういうことかというと、私はライターというよりジャーナリストでいたいと思っているんです。

――ライターではなくジャーナリストですか。面白いですね。

伊藤さん:23歳のとき、雑誌の企画で2か月間アメリカに行ったのですが、現地の日本人に言われたセリフがとても印象に残っています。

「アメリカでライターと言ったらそれは作家。取材をする人はジャーナリストだ」

ですから、良いとか悪いとかってことを自分で言うのではなく、読んだ人が判断して考えてほしいと思って記事を書いています。安易に結論を出すのではなく、最終的に読んだ人に意図が伝わったらすごくうれしいですね。

――不思議な偶然なのですが、一昨日「作家とライターの違い」についてのnoteを公開したんですよ(笑)。

※こちらの記事はnoteから当ブログに移行しました

www.okamoto-yu.net

伊藤さん:ライターと作家の違い。これはまさにです!

ライターとしてのポリシー

――他に仕事をするうえでのポリシーはありますか?

伊藤さん:取材をしてエビデンスをしっかりとることは大前提ですね。もちろん最近はインターネットで検索した記事を参考にすることもありますが、なるべく情報のソースを直接タッチするようにしています。

たとえどうしても現地取材に行けない場合でも、電話やメールで取材をするようにしています。

ライターの醍醐味は新しい発見

伊藤さんが印象に残っているエピソード

――ライターをしていて楽しい瞬間や印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

伊藤さん:ライターの仕事で面白いと思うのは、取材の中で思いもよらぬ人に会えたり、出来事を知れたりすることです。そして、その新しい発見を自分以外の人にも教えてあげたい。これがライターの醍醐味ですね。これを楽しめる人はライターや編集者に向いていると思います。

ちなみに、私の場合はあまりお金のためにライターをやっている意識はありません。そもそも、最近の編集とかライターの業界はほとんどが厳しい状況ですからね(笑)。

永遠の素人でいたい

――逆に絶対やらないと決めていることはありますか?

伊藤さん:私は「永遠の素人でいたい」と思っています。

普通ライターは専門家を目指すことが多いと思います。「家電ライター」みたいな形ですね。

ですが、私は深堀をするのが苦手で、典型的な広く浅くタイプです。だからこそ、色んな引き出しを持つことができ、ファッションのコーディネートのようにうまく引き出しを使って仕事ができています。そういう意味では、どちらかというとライターよりは編集者っぽいところがあるかもしれません。

――それはすごくよくわかります。僕が尊敬する編集者の方も全く同じことを言ってましたね。

渾身の作品とおすすめ書籍

『農業女子』と『老子と猫から学ぶ人生論』

――渾身の記事や作品があれば教えてください

伊藤さん:実は出版社が潰れてしまって中古でしか買えないのですが、農業経営者として活動している女子の方を100人くらいまとめた『農業女子』という本には思い入れがあります。

農業女子

農業女子

  • 作者:伊藤 淳子
  • 発売日: 2015/04/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

伊藤さん:あとは、『老子と猫から学ぶ人生論 だいじょうぶ。 ニャンとか生きていけるよ』という本はお陰様で累計発行部数が3万5000部までいきました。

初級ライターにおすすめの書籍

――経験の浅いライターに向けて、おすすめの書籍などはありますか?

伊藤さん:ノウハウ本はあまり読まないのですが、文章力をつけるために辞典はあった方がいいと思います。特におすすめなのが『角川類語新辞典』(ちょっと古いですが)と『ネーミング辞典』です。

角川類語新辞典

角川類語新辞典

 
ネーミング辞典 第3版

ネーミング辞典 第3版

  • 発売日: 2012/12/18
  • メディア: 単行本
 

インタビューを終えて

初回にも関わらず業界の大先輩にインタビューをさせていただくことができ、とても光栄かつ恐縮でした(笑)。某有名ファッション誌の創刊のお話など、実はこの記事に盛り込めなかった内容もたくさんあるのですが…。

 

伊藤淳子さんの関連リンク

 

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※この記事はnoteにて2020年8月17日に掲載した記事を再掲載したものです。