【Writer's File No.8】カラムーチョ伊地知さん。極貧フリーター生活からフリーランスに至るまで


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誰かに取材をすることばかりで、取材を受ける機会はあまり多くないライターのキャリアについてインタビューする「ライターズファイル(Writer's File)」。

8人目は、フリーランスで活躍されているカラムーチョ伊地知さんです。

自分をライターだとは思っていない

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出版社の編集者と広告制作会社を経てフリーランスへ

――今回は取材を受けていただきありがとうございます。簡単に自己紹介と、今やっているお仕事を教えていただけますか?

伊地知さん:カラムーチョ伊地知と申します。いわゆるペンネームですかね。千葉県出身です。大手出版社の編集者を経て京都の広告制作会社、商社を経て、最近フリーランスになりました。

ライターとしての仕事はインタビュー記事の作成がほとんどです。ジャンルは特に絞っていませんが、ビジネス系が多いですね。会社のブログ運営代行なども請け負っています。

あとは最近PRディレクターの認定資格を取りまして、今後はPRディレクターの仕事も受けていきたいと思っています。実は他にも映像編集の仕事もしています(笑)。

――実に多彩ですね(笑)。伊地知さんは自分のことをライターだと思っていますか?

伊地知さん:自分をライターだとは思っていません。そもそも自分の肩書きをどうするかはあまり考えたことがないんです。ただ最近PRの資格を取ったときに自分のPRを考え直しまして、「編集者でいいんじゃない?」と言われたので今は編集者を名乗っています。

根本にあるのは紙での経験

――伊地知さんは「何かを作るのが仕事」っていう感じですよね。今回は敢えてライターの側面に焦点を当ててお話を聞いていきます。今ライターとして活躍されている原点はどんなところにありますか?

伊地知さん:やっぱり僕の根本は紙ですね。どちらかというとライターのことをたたきこまれたわけではなく、編集のことを厳しく言われてきました。それが結果的にライターとしてのプロ意識というか、Web出身の方とは違う考え方が身についていたのだと思います。

極貧フリーター生活から大手出版社のアシスタントでキャリアをスタート

伊地知さんが編集・ライターを始めた経緯

――早速ですが、伊地知さんのキャリアについて聞かせてください。ライターを始めた経緯を教えていただけますか?

伊地知さん:僕は元々漫画と本が好きで、大学も文学部出身なんです。周りと比べても本を読む方でした。なので、漠然と本に関わる仕事がしたいとは思っていましたね。そこから、出版社に入って編集者になりたいと思うようになりました。当初はライターという仕事があること自体を知らなかったです。

たった今思い出したのですが、小学校6年くらいの時に地域の新聞社の子ども記者を募集していたことがあって、自分で立候補したか先生に推薦してもらいました。記事の内容はたしか、病院の先生に好きな本を聞くインタビューでした。このときのことは今でも印象に残っていますね。

このときから文章を書くのは面白いなとは思っていました。高校のときに小説もどきを書いたりもしていましたね(笑)。

――それでもライターになりたいとは思わなかったんですね?

伊地知さん:はい。何かを作る仕事に就ければなとは思っていました。僕は一度就活に失敗しているんです。自己分析などを本腰入れてやっていませんでしたが、それなりに徹夜してエントリーシートを書いたりしました。ですが、そのころはちょうど就職氷河期で、箸にも棒にもひっかかりませんでした。

「このまま卒業してフリーターでもやるか」と考えはじめたときに、東日本震災がありました。当時受ける予定だったアニメ関係の面接がなくなったりもしましたね。ですが、親からは「家を出て一人暮らしをしろ」と言われていたので、しばらくはフリーターをやりながらバンドをやっていました。この1年間はいわゆる極貧生活でした……。

――編集者になるまでにそんな苦労があったんですね。出版社は諦められなかったんでしょうか?

伊地知さん:やりたい仕事に就けない苦しさはありましたが、やっぱり何かを作る仕事がやりたかったですね。

そんなときに大手出版社の求人をみつけて応募したんです。運よく20代のアシスタントからやってくれる若い子が欲しいという需要にマッチして、非正規社員として採用が決まりました。ようやくそこから編集者としてのキャリアがスタートした形です。

ライターに下積みは必要か?

――伊地知さんの場合は出版社での編集アシスタントからの下積み時代が今のライターにつながっていますよね。これからライターを目指す人はそういった下積みは必要だと思いますか?

伊地知さん:僕は8~9年ほど前の話なので、今は時代が変わってきているとは思います。たとえばnoteとかで発信してライターになる道はあります。それに、自分で名乗ればライターにはなれる……かもしれません。

ですが僕は編集とライティングの基礎を出版社で叩き込まれました。かわいがってもらったし、とても勉強にはなりましたね。

一つ言えるのは、若いうちに仕事の全体図を見ておかないと、いつかどこかでつまづきやすいということ。どうやって記事ができるかとか、全体の流れを把握できるのはアシスタントをやるメリットだと思います。ライターは全体図がみれるかどうかで質が変わってきます。もしまだ若くてアシスタントになれるチャンスがあるんなら、やったほうがいいとは思います。

インタビュー記事は読み手の感情の動きが大事

記事がのっぺりしないようにする

――伊地知さんがライターをやるうえで大事にしていることはありますか?

伊地知さん:インタビューでいうと、読み手の感情の動きを大事にしています。

――具体的にはどんなところを意識されていますか?

記事がのっぺりしないように、物語性を持たせるようにしています。映画やドラマに近いかもしれません。たとえば、第1リード文の第1段落は導入として興味を引いて、第2段落の共感パートでは感動してほしい。そのために第1段階でそのための前振りを置いとく。みたいな感じで伏線を張っています。

インタビューの原稿にはがっつり編集を加える

――……この記事を書くのもちょっとプレッシャーですね(笑)。そういえば最近Twitter等でライターのインタビューの仕方についても論争が起きましたよね。伊地知さんの場合は結構インタビューの内容に手を加えるのでしょうか?

伊地知さん:僕はゴリゴリに編集しますね。もしインタビューの内容をそのまま書くなら、パソコンさえあれば誰でもできます。文章にするときに手が入ることで、読んだときにより読み手の心に残るものになる。それがライターとか編集の仕事だと思っています。

どんな案件も校正に3日はかける

――他に何か意識していることはありますか?

伊地知さん:読みやすくするために、自分が書いた原稿は何回も読み直します。1回書いたら最低3周はしますね。校正に3日くらいはかけます。まずはWordで読んで手直しして、2周目はリード文考えたり太字にして、3周目は紙に出力して文章整えます。意識しているというよりは、紙出身だからこその癖のようなものです。ここまでやらないと気持ち悪いんです(笑)。

なので、「今すぐ原稿ください」みたいなお願いはなるべく断っています。インタビューの場合は最低でも2週間くらいの納期をくださいとはクライアントに言いますね。

パラレルキャリアをテーマにした「ニソクワラジ」を運営

建設コンサルタントの伊藤昌明さんへのインタビュー記事

――渾身の記事や作品があれば教えてください。

伊地知さん:パラレルキャリアをテーマにした「ニソクワラジ」というWebメディアを運営しているのですが、建設コンサルタントの伊藤昌明さんへのインタビュー記事は印象に残っています。下記がその渾身の記事です。

2soku-warazi.themedia.jp

伊藤さんとはFacebookでつながりました。全く知らなかった建設コンサルタント業界の話だったのですが、がっつりインタビューさせてもらっていい記事にできたと思います。

ライターとしてお手本になるフリーマガジン「ハンケイ500m」

――ライターとしてお手本にしている人や参考になった書籍などがあれば教えてください。

伊地知さん:「~の文章術」みたいな本は読みませんね。

取材関連で言うと、京都に「ハンケイ500m」っていうフリーペーパーがあるんです。これがすごく取材を丁寧にしているのが伝わってきて、文章も良いのでとても参考になります。「本当にこれ、タダで読んでいいの?」っていう。タダで出すようなクオリティではないんですよ。

アーカイブもタダで見られるので、ぜひ読んでみてください。

www.hankei500.com

あとライターには直接関係ないのですが、『持続可能な資本主義』という本がおすすめです。

持続可能な資本主義

持続可能な資本主義

  • 作者:新井和宏
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: Kindle版
 

僕が個人でやっている「ニソクワラジ」もそうなのですが、ライターさんがnoteとかを書くときに、モチベーションがわからなくなる瞬間が訪れることってよくありますよね。

この本は「これって世の中のためになっているんだっけ?」と不安になるときに、「社会のためになることを自ら発信している人は強い」と背中を押してくれる1冊です。社会への貢献の気持ちとか贈与の気持ちを学べます。ライターや編集をやっている人には特におすすめですね。

インタビューを終えて

インタビューをしていく中で、伊地知さんの編集・ライター論にとても共感しました。同じ編集者やライターという職業の人でも色んな考え方があるので、自分と考え方が近い人を探してみるのはすごくおすすめです。

ちなみに、僕が始めたこの「ライターズファイル」という企画も、実は伊地知さんの「ニソクワラジ」の影響を受けています。無償でインタビューをするのはすごく大変かつ意義を見出しづらいですが、伊地知さんのように社会への貢献の気持ちを持って続けていきたいと思います。

 

カラムーチョ伊地知さんの関連リンク

 

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※この記事はnoteにて2020年10月27日に掲載した記事を再掲載したものです。